香りのその先にあるもの
アロマセラピーに癒しを求める
アロマは古くて、新しい
アロマで豊かな日々を暮らす
香りのその先にあるもの
アロマセラピーは、ただ「良い香りを楽しむ」だけのものではありません。
植物から生まれた精油の香りが、心や体にそっと寄り添い、健やかに生きる力を思い出させてくれる──そんな自然の恵みを用いた「芳香療法(ほうこうりょうほう)」です。香りは脳の中でも、感情や記憶と深くつながる部分に届きます。そのため、精油の香りは気分を落ち着けたり、前向きにしてくれたりと、日常に小さな変化をもたらしてくれるのです。
「眠れないときのラベンダー」「集中したいときのペパーミント」──皆さんも一度は耳にしたことがあるでしょう。ふと漂う香りから懐かしい思い出がよみがえり、気持ちがやわらぐこともあります。
アロマセラピーに癒しを求める
海外では、医師のもとで精油を治療に取り入れる国もあります。
一方で日本では、医薬品としては認められていないため、主にリラクゼーションやストレス緩和を目的に、サロン・介護施設・医療現場などで広く活用されています。
病院の待合室や、歯科医院のドアを開けたとき、ふと漂うアロマの香りに安心することがありますね。それほどに、アロマは私たちの暮らしの近くに息づく存在になっています。
私たちの身近になっているアロマですが、ひとつ大切なことがあります。
代替医療としてアロマを取り入れている病院や施設もありますが、あくまで民間療法であって、アロマは医療行為ではないということを心にとめておいてください。つまり、アロマだけで病気を治せるものではないということです。
西洋医学に頼らない子育てを望まれているご家庭で、子どもさんの体調がよくない時に、アロマを使って治そうとするママたちがいらっしゃいます。「自然の植物の力を信じたい」「なるべく薬は使いたくない」そういったお気持ちがおありなのでしょうが、まずは、かかりつけ医の診断を受けて判断を誤らないことが大切です。これは、子どもに限ったことではなくて、私たち大人にもいえることです。
昨今の野草ブームもあり、自然に親しみ、寄り沿う暮らしをされている方も多くいらっしゃいますが、健康のために精油を飲用するのはむしろ、健康になるどころか危険を伴う場合もあります。
ストレスの多い社会を生きる私たちにとって、心のよりどころとなるアロマ。必ず正しい方法で、安全に使用することこそ、香りがもたらす安らぎ、幸福感を感じられます。
アロマは古くて、新しい
アロマセラピーの歴史をたどると、古代ローマ時代から「香り」が治療や儀式に用いられてきました。現代のように多くの人に広まったのは、ほんの100年ほど前のことにすぎません。
日本でも古くから、冬至の「柚子湯」や、端午の節句の「菖蒲湯」といった、香りを楽しむ風習がありました。
そう考えるとアロマセラピーは決して、おしゃれで特別なものではなく、古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた文化と言えます。
アロマで豊かな日々を暮らす
精油は暮らしのさまざまな場面で役立ちます。
眠れない夜に枕元で香らせたり、お掃除に取り入れたり。ディフューザーで部屋を満たす香りは気分を整え、勉強する子どもの集中をサポートしてくれることもあります。自然の植物から生まれる精油は、日常に彩りと心の深呼吸をもたらしてくれるもの。
ただし自然のものだからこそ、選び方や使い方には注意が必要です。
安心して楽しむために──どうぞ専門家のアドバイスを取り入れながら、安全にアロマを暮らしに役立ててみてください。